― AWSとの違いから考える設計思想 ―
こんにちは。
現代のWeb開発において、インフラの選択肢は
AWSやGoogle Cloudだけではありません。
本連載では、
**さくらのクラウドのコンテナサービス「AppRun」**を使い、
- フロントエンド(Next.js)
- バックエンド(Django REST framework)
- VPC内データベース
- Cloudflare連携
という本番構成を構築する方法を解説します。
今回の全体構成図

この構成のポイント
✅ AppRunでフロント/バックを分離
✅ DBはVPC内に完全非公開
✅ L2 / L3設計を明確に分ける
✅ GitHub Actionsで自動デプロイ
最大の特徴は、
マネージドサービスの利便性
×
VPC(閉域網)による堅牢なセキュリティ
の両立です。
採用技術スタック
1️⃣ Frontend:Next.js(App Router)
- SSR対応
- ISR活用
- コンテナとの親和性
- AppRunのオートスケール前提設計
AppRunはステートレス設計と相性が良いため、
Next.jsとの組み合わせは非常に相性が良いです。
2️⃣ Backend:Django REST framework(DRF)
なぜDRFか?
- Pythonエコシステム
- 強力なAdmin
- 認証機能標準搭載
- 開発スピードが圧倒的
さらに重要なのが、
コンテナ前提のステートレス設計
AppRunでスケールさせるためには、
セッション管理やファイル保存を外部化する必要があります。
AppRunとは?AWSと何が違うのか
AWSに慣れている方向けに置き換えます。
| 機能 | さくらのクラウド | AWS相当 |
|---|---|---|
| PaaS | AppRun | App Runner / ECS |
| L3ルータ | VPCルータ | NAT Gateway |
| L2 | スイッチ | Subnet |
| DB | データベース | RDS |
| CI用実行基盤 | Self-hosted Runner | CodeBuild |
最大の違いは「ネットワーク思想」
AWSはL3前提設計。
さくらはL2を自分で設計する思想です。
ここを理解しないと、
AppRun × VPC構成で確実に詰まります。
💰 さくらを選ぶメリット
- NAT Gatewayのような高額固定費がない
- データ転送料金が基本無料
- 国産クラウドである安心感
- コスト予測がしやすい
特にスタートアップや中規模案件では
コストインパクトが大きい。
【重要】なぜSelf-hosted Runnerが必要なのか?
AppRun × VPC構成最大の壁は、
DBマイグレーション問題
AWS ECSなら run-task が使えますが、
AppRunにはワンショット実行機能がありません。
そのため、
👉 VPC内にSelf-hosted Runnerを置く
という設計になります。
この詳細は第3回で解説します。
📚 連載ロードマップ(全5回)
本シリーズでは、
さくらのクラウドで実現するモダンアーキテクチャを、設計思想から自動化まで段階的に解説します。
単なる構築手順ではなく、
- なぜその設計にするのか
- AWSとは何が違うのか
- どこで詰まりやすいのか
- 本番運用で破綻しない構成とは何か
まで踏み込みます。
📚 連載ロードマップ(全5回)
本シリーズでは、
さくらのクラウドで実現するモダンアーキテクチャを、設計思想からIaC化まで段階的に解説します。
単なる構築手順ではなく、
- なぜその設計にするのか
- AWSと何が違うのか
- どこで詰まりやすいのか
- 本番運用で破綻しない構成とは何か
まで踏み込みます。
第1回
さくらのクラウドで作るモダンアーキテクチャ入門
(DRF×Next.js構成とAWSとの違いを解説)
まずは全体像と設計思想から。
さくらのクラウドにおけるモダン構成の考え方と、AWSとの違いを整理します。
第2回
さくらのクラウドVPC設計完全解説
(L2スイッチとL3ルータの違いと正しいセグメント構成)
モダン構成の土台となるネットワーク設計。
L2・L3・SEGの違いを理解し、正しいVPC設計を行います。
第3回
GitHub ActionsとSelf-hosted RunnerでVPC内DBにmigrateを実行する方法
(AppRun構成対応)
閉域ネットワークとCI/CDをどう両立させるか。
VPC内DBへの安全なマイグレーション戦略を解説します。
第4回
AppRun専有型と共用型の違いを徹底解説
(VPC連携と本番設計の分岐点)
AppRunの共用型と専有型の違いを整理し、
本番構成でどちらを選ぶべきかを明確にします。
第5回
Terraformで再現するさくらのモダンアーキテクチャ
(AppRun・VPC・DBをIaC化する手順)
最後はInfrastructure as Code。
これまで構築した環境をコード化し、1コマンドで再現できる状態に仕上げます。。
よくある質問(FAQ)
Q. AppRunはAWSのECSと同じですか?
いいえ。
AppRunはよりシンプルですが、
ネットワーク設計の思想が異なります。
Q. AppRunはVPCに接続できますか?
専有型であれば可能です。
共用型ではスイッチ接続ができません。
Q. AppRunは本番利用できますか?
可能です。ただし
- クラスタ設計
- VPC構成
- デプロイ戦略
を正しく理解する必要があります。
まとめ
「さくらのクラウド」は
クラシックな印象を持たれがちですが、
AppRunを組み合わせることで、
- モダンなコンテナ運用
- 高いコスト効率
- 国産クラウドの安心感
を両立できます。
次回は
**ネットワーク設計(L2 / L3の違い)**に深く潜ります。
ここを理解しないと、
AppRun構築は成功しません。
