最近は企業規模を問わずサイバー攻撃が多発しており、国内でもランサムウェア攻撃や情報漏洩が相次いでいます。例えば、Asahi Group Holdings では注文・出荷システムが停止し、Askul でも顧客情報の漏洩が疑われるなど、事業継続に大きな影響が出た事例が増えています。こうした攻撃は大企業だけでなく、サプライチェーンの中にいる中小企業も標的となるケースが増えていることが特徴です。

なぜ中小企業でもセキュリティが重要なのか
中小企業は大企業に比べてセキュリティ投資が不足しがちであり、攻撃者からは“侵入口”として狙われやすい存在です。特に、サプライチェーン攻撃の対象になりやすい点や、被害が発生した際に事業継続が困難になるなど、中小企業にとってもセキュリティは死活問題となっています。
中小企業にありがちなセキュリティ課題
- パスワードの使い回し
- 古いOSやソフトウェアの継続利用
- バックアップ体制の不備
- 属人的なIT管理
- メールを介した標的型攻撃
各課題に対する具体的な対応案
中小企業が抱えがちなセキュリティ課題に対して、現実的かつ効果的に取り組むための対応策を整理します。
1. パスワードの使い回しへの対策
- パスワード管理ツールの導入:従業員が強固で複雑なパスワードを使えるよう、パスワードマネージャーを導入する。
- 多要素認証(MFA)の必須化:パスワードが漏えいしても第三者がログインできないよう、MFAを標準設定にする。
- 定期的なパスワード教育:年1回の研修ではなく、短い学習コンテンツを定期配信するなど、習慣化を促す。
2. 古いOS・ソフトウェア利用への対策
- 自動アップデート設定の徹底:Windows・macOS・主要ソフトは自動更新を標準化する。
- 機器のライフサイクル管理:PCやサーバーの使用期限を定め、古い端末を計画的にリプレイスする。
- 脆弱性情報の定期確認:IPAなどの情報を確認し、重大な脆弱性があれば早急に対応する。
3. バックアップ体制の強化
- クラウドバックアップの活用:ランサムウェアの影響を受けにくい外部バックアップを確保する。
- バックアップの3-2-1ルール適用:(3つのコピー・2種類の媒体・1つはオフライン)を実践する。
- 復旧テストの実施:バックアップを取るだけでは不十分。復元できるか毎年確認する。
4. 属人的なIT管理の解消
- 設定情報の文書化:ネットワーク情報、アカウント情報、機器管理をドキュメント化する。
- 外部ITパートナーの活用:社内に専門家がいない企業は、MSP(IT管理サービス)に委託することで属人化を防ぐ。
- 権限管理の明確化:退職者のアカウント削除、権限棚卸しを定例化する。
5. メールによる標的型攻撃への対策
- メールフィルタリングの強化:迷惑メール・不審な添付ファイルを自動で隔離する環境を整える。
- 従業員向けフィッシング訓練:定期的な模擬フィッシングで、だまされにくい組織文化を作る。
- 怪しいメールの相談窓口設置:個々人の判断に依存させず、気軽に相談できるルートを設ける。
どこから対策を始めていくのか ― 結局は「人」である
多くの中小企業が抱えるセキュリティ課題は、最終的には 「人」への依存度が高い ところに行き着きます。どれだけ優秀なセキュリティ製品を導入しても、運用するのは人であり、不審なメールを開くのも、設定を放置するのも、最終的には人です。そのため、技術的対策と同時に「人」を中心とした取り組みを進めることが欠かせません。
1. 最初に着手すべきは“意識改革”
- 経営層がリスクを理解し、方針を示すことが最重要。セキュリティはIT担当者だけの問題ではなく、企業全体の経営課題であるという認識を共有する必要があります。
- 「うちは狙われない」という思い込みを捨てること。実際には無差別攻撃が大半を占めており、規模関係なく被害に遭う時代です。
2. 社員教育を継続的に行う仕組みづくり
- 年1回の研修では不十分。短時間のe-learningや、月1回のミニ講座のように、継続・反復できる仕組みが効果的です。
- フィッシング訓練の実施によって、社員が日常的に警戒心を持てるようになります。
- 気軽に相談できる環境づくりも重要。不安なメールや操作について、相談先が明確であることで誤った判断を防げます。
3. 小さく始めて大きく育てる
- いきなりすべての対策を一度に導入する必要はありません。まずは 「パスワード管理」「バックアップ」「機器の更新」 など、効果は大きく着手しやすい領域からスタートします。
- その後、段階的に 「ネットワーク監視」「アクセス管理」「資産管理」 などの仕組みを整えていくことで、無理なくレベルアップできます。
4. 外部の専門家を賢く活用する
- 専門知識を持つ人材が少ない中小企業では、外部のITパートナーやセキュリティ会社の支援を受けることはきわめて有効です。
- 月額制の MSP(マネージドサービス) や SOC(セキュリティ監視サービス) などを利用することで、少ない負担で高度な対策を取り入れることができます。
最終的に、セキュリティ対策の成否を決めるのは「人」です。誰もが基本的なリテラシーを持ち、相談しやすく、改善が継続できる環境を整えることが、最も効果的なセキュリティ強化につながります。
まとめ
中小企業にとってセキュリティは、もはや“大企業だけの問題”ではありません。攻撃者は規模を問いませんし、サプライチェーンの一部である中小企業は、むしろ狙われやすい存在です。攻撃を受けた際の業務停止や情報漏えいは、企業の信用や事業継続に深刻な影響を与えます。
本記事で整理したとおり、セキュリティ課題の多くは複雑な技術ではなく、まず 「パスワード管理」「バックアップ」「機器更新」 といった、基本的だが効果の大きい取り組みから改善できます。そして、最終的に対策を成功へ導く鍵は“人”。経営層の理解、社員の意識改革、継続的な教育が、組織のセキュリティレベルを大きく引き上げます。
完璧な対策を一度に整える必要はありません。できることから小さく始め、継続し、改善していく。この積み重ねこそが、企業を守り、取引先から選ばれ続ける強さにつながります。
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